たなべ未来創造塾-地域から必要とされる新たな仕事を創りだす-
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第5期 事業レポートReport

たなべ未来創造塾第5期開講式

2020年8月1日
日時 :令和2年8月1日(土)13:30~15:00
会場 :田辺市文化交流センター たなべる 2階 大会議室

田辺市と富山大学地域連携推進機構の共同主催により、地域課題の解決や地域資源の活用をビジネスの手法で考える人材の育成とビジネスモデルの創出を目指した「たなべ未来創造塾」第5期の開講式が行われ、令和2年2月までの約8か月にわたる取組がスタートした。
今期は、コロナ禍での開催ということで、検温、手指消毒の実施、アクリルパテーションの設置など感染防止対策を徹底するとともに、修了生には、リモートで参加していただくなど、新たな試みにも挑戦した。

開会挨拶

たなべ未来創造塾長・田辺市長 真砂充敏
たなべ未来創造塾第5期開講式 開会挨拶

田辺市では、JR紀伊田辺駅前に市街地活性化施設「tanabe(タナベ) en(えん)+(プラス)」が8月10日にオープン、新武道館についても間もなく完成する。また、新庁舎については設計業務がほぼ完了し、“紀南の拠点”ともなる街なかの基盤整備が概ね形となりつつある。

一方で、このようなハードが整備されたとしても、そこで活躍するプレーヤーこそが重要だという思いから、平成28年度より富山大学地域連携推進機構の協力を得る中で「たなべ未来創造塾」を創設した。

創設当初は、人材育成には時間が必要という認識から、まずは5年続けることでその中から少しずつ事例が生まれてくるのではないかと思っていたが、すぐに効果が出始め、4期を終えた今、これだけ多くの塾生が創業し活躍されていることは、予想を大きく上回っている。そしてこの活躍と比例して、内外からの評価も非常に高くなっている。

また、「たなコトアカデミー」など、都市部との交流による関係人口の創出にもつながりつつあり、今年度、5期目という節目を迎えるということで、もう一回り大きなうねりにしていきたい。

来賓挨拶

近畿財務局和歌山財務事務所長 木村由典
たなべ未来創造塾第5期開講式 来賓挨拶

新型コロナウイルスの影響下で開催までこぎつけられたこと、関係者の皆さんのご尽力の賜物だと思う。
近畿財務局では、地域貢献を果たすべく、各地で様々な取組をしており、「たなべ未来創造塾」については、平成29年度の第2期からお手伝いをしている。

「たなべ未来創造塾」については、地方創生の成功事例として、全国的に注目を集めていることに加え、第4期の修了式に出席をさせていただいた青木前近畿財務局長からも、すばらしい取組であることを伺っている。

今後とも、「たなべ未来創造塾」を支援させていただきたい。

オリエンテーション ~たなべ未来創造塾が目指すもの~

田辺市たなべ営業室 鍋屋安則
たなべ未来創造塾第5期開講式 オリエンテーション 〜たなべ未来創造塾が目指すもの〜

全国平均より早いスピードで人口減少が進み、内需に依存した経済構造を有する田辺市にとって、「交流人口の増加」「地域経済の活性化」に向けた取組が必要で、そのために富山大学地域連携推進機構と「人材育成の連携に関する覚書」を締結し、「たなべ未来創造塾」を具体化してきた。

平成28年度の創設後、これまで4期47名の修了生を輩出し、そのうち70%近くが実際に行動を起こし、様々な媒体で掲載されるとともに、「まち・ひと・しごと創生本部」のゲストスピーカーとして招聘されるなど、全国からの注目が高まっている。

こうした中、新型コロナウイルスが世界中に大きな影響を及ぼし、当市においても多くの事業者が苦慮している。しかし、たなべ未来創造塾修了生においては、コロナ禍においても修了生同士で助け合いながら新たなビジネスを生み出している。これからの新しい時代に必要とされる新しい価値を生み出していきましょう。

塾生自己紹介

塾生が各自1分以内で自己紹介を行い、企業情報や事業内容、参加の動機、抱負などを話した。

トークセッション テーマ「ウィズコロナを見据えた持続可能なまちづくりとは」

パネリスト 真砂充敏(たなべ未来創造塾長 田辺市長)
木村由典(近畿財務局和歌山財務事務所長)
須藤健文(日本政策金融公庫田辺支店長)
会場の皆さま
コーディネーター 金岡省吾(富山大学地域連携戦略室長・教授)
金岡教授:

新型コロナウイルスによる田辺市の影響と支援策は。

真砂市長:

3月・6月の議会定例会のほか、4月・5月・8月と臨時議会を開催し、市独自の支援策を切れ目なく実施している。飲食店など小規模事業者への支援や、インバウンドの回復が厳しい中、宿泊業への支援として市民を対象にした旅行招待など。地域で経済を循環させていくことが必要だと思っている。また、子どもたちへの学習機会の創出のため、小中学生にタブレットを配布、災害時の対策など生活支援も含め、幅広い対策を講じている。

金岡教授:

和歌山県内における新型コロナウイルスの影響は。

木村所長:

和歌山県内に限らず、飲食や観光業など幅広い業種が影響を受けている。
経済への影響を見ると、厳しい状況は続いているものの、足元では下げ止まりの動きも見られ、緊急事態宣言解除後は、個人消費が持ち直しの傾向もあると認識している。しかし、感染拡大がさらに広がっており、注視が必要な状況となっていると認識している。

金岡教授:

日本政策金融公庫田辺支店の状況はどうか。

須藤支店長:

3~5月については、あらゆる業種の相談が殺到し、通常より大幅に時間がかかった。5月からは民間金融機関でも同様の支援を受けられるようになったこともあり、平時に戻りつつある。

金岡教授:

イベント等が中止になる中で、たなべ未来創造塾を開催することにした理由は。

真砂市長:

田辺保健所管内については、二次感染が広がっている状況ではなく、緊急事態宣言が解除され、社会活動や経済活動の再開も重要であり、たなべ未来創造塾を中止にする状況ではないと判断した。そもそも、たなべ未来創造塾は人が密集する各種イベントとは性格や内容が異なる。こうした時期だからこそ、新しいものが生み出されるだろうし、またそういう機会にしていくことが大切という思いから、開催することとした。

金岡教授:

コロナ禍での金融行政の役割は。

木村所長:

財務局は金融庁からの事務委任を受け、金融機関の検査・監督の役割を有しているが、コロナ禍で地域経済が深刻なダメージを受ける中で、金融機関による地域事業者への財政支援は必要不可欠。しかし、新型コロナウイルスの収束が遅れると金融機関の体力も失われていく。そのため、金融システムを維持しつつ、中長期的な視点に立った支援を両立していかなければならない。事業者においては、「新しい生活様式」を踏まえ、どのように新たな事業展開をしていくかが需要であることから、行政・金融機関・地域事業者が三方よしで見取り図を共有していくことが必要。

金岡教授:

コロナ禍における金融機関の役割は。

須藤支店長:

コロナ禍で働き方や暮らし方が大きく変わり、これまでの常識が覆された。しかし、言い換えると新たなビジネスが生まれるチャンスと捉えることができるのではないか。そのためには、皆さんのような若い力が必要。金融機関としては、時代の変化にあったビジネスプランを事業者の皆さんとともに考え、支援していきたい。

金岡教授:

市としての今後の施策と塾生に期待することは。

真砂市長:

新型コロナウイルスにより、生き方そのものが大きく見直される時代になっている。このことをどう捉えて、新たな次のステップにどうチャレンジしていくか。こうした意味では、5期生は今までにない場面に立っていると感じている。また、経済を地域内で循環させていくことが重要だと思っており、プランを考えていくうえで、こうした視点も持ち合わせてほしい。その一方で、外貨を稼ぐという視点も重要であることから、テレワークなどITの技術も活用しつつ、関係人口の視点も考慮しながら、新しい価値を生み出してほしい。市としても、次へのチャレンジができるような施策を講じていきたい。

連携・協力・後援機関・講師からのエール

  1. 若い皆さんの志の高い取組がいよいよスタートされるということで、感銘を受けている。金融機関としては、地域とともに発展するということを念頭に置きながら皆さんの支援をしていきたい。
  2. 修了式での発表を楽しみにしている。気軽に相談してほしい。
  3. これからの時代は、新しいものを「創造」していかなければならない時代。私どもでは、これまでインバウンドを中心に取り組んできたが、しばらくは厳しい状況。そのため、何を「創造」していくか、私どもとしても新たな挑戦をしていきたい。
  4. 新型コロナウイルスの影響は、ある意味、これまでで最も大きなチャンスともとれる。首都圏一極集中から地方分散への動きが加速しつつあり、地方がチャンス。次の次くらいを考えながらプランを練ってほしい。
  5. 空港型地方創生として、誘客と地域活性化に取り組んでいる。同年代ということもあり、皆さんとは同志として一緒に取り組んでいきたい。

修了生からのメッセージ

  1. 今まで個々で取り組んできたが、未来塾を通じて、強みと弱みを助け合いながら面として取り組めるようになったと感じている。今後も、ピンチの時には、こうしたつながりが武器になるのではないか。
  2. 同じ目的を持って取り組んでいる仲間がこんなにいるんだなと実感している。
  3. こうした状況の中でもWEBミーティングなどを通じて、できるだけコミュニケーションを取ってきたが、前向きにとらえるメンバーが多く、心強さを感じている。OB会を組織しているので、5期生の皆さんも気軽に参加してほしい。

閉会挨拶

田辺市副市長 木村晃和

これまで4期47名の修了生を輩出してきたが、その後の活躍とともに関係者の皆さんとの一体となった支援体制が内外から評価いただき、全国から注目される地方創生の事例となってきた。

こうした中、新型コロナウイルスが生活や経済に大きな影響を及ぼしているが、発想の転換により、貴重な機会と捉えることが重要だと思っている。たなべ未来創造塾は、小さくてもイノベーションを起こしていく仕組み。経済的なインパクトだけでなく、新しい価値を生み出すこと。新しい暮らし方、新しい働き方、新しい文化を生み出すこと。

こうした時代にこそ、たなべ未来創造塾の取組は一層求められるべき仕組み。5期生の皆さんには、講義の中で時代の変化を見定め、次の時代が求める新たなビジネスを作り出していただきたい。強い情熱を持ち続けていただくことを期待している。

たなべ未来創造塾第5期開講式

基礎講義 地域活性化論①
~新たな地域づくり CSV ソーシャルビジネス 
       魚津、高岡の地域課題解決への企業行動~

2020年8月1日
講師 :富山大学地域連携戦略室長 金岡省吾 教授

金岡教授の自己紹介も兼ね、民間シンクタンク時代のプロジェクト事例などを話題にしながら、「どんな傑作な報告書を作っても、第三者が作ったプロジェクトは動かない。実践者自らが考えることが重要である。」と痛感し、その後、民間シンクタンクから富山大学へと活躍の場を変えた。大学での活動は、産学官金がそれぞれの役割を果たし、企業や市民が自ら考えることにより、新たなビジネスを創出するシステムを構築することであり、魚津三太郎塾やとやま呉西圏域共創ビジネス研究所といった富山大学での取組み事例を紹介した。

魚津三太郎塾では、「水循環」という地域資源の活用を大きなテーマとして、1~8期まで計69名もの塾生を輩出、提案事業の実行率が60%近くという大きな実績を挙げている。
一方、とやま呉西圏域共創ビジネス研究所では、「人口減少」や「少子高齢化」といった地域課題を解決するビジネスが多く生まれている。

魚津、高岡どちらも地域にふれることで、実際に企業の収益に結びついている。
人口減少が進む中、企業は地域とどう結び付きながら、共通価値を見出し、ビジネスにつなげていけるかが、これからの時代を生き抜くためには重要であり、地方創生の流れの中で全国の企業がこうしたCSV(共通価値の創造)に注目しているのはこうしたことからなのである。
「自分の企業が変われば、社会が変わる。」と皆さんは考えられるだろうか。

そう問題提起をして、1日目の講義を終えた。