たなべ未来創造塾
未来デザイン

たなべ未来創造塾 第3期 事業レポートReport

地方創生から考える地域課題と地域活性化
ケーススタディ:ひなたの山の物語

2018年8月11日
日時 :平成30年8月11日(土)14:00〜17:00
会場 :田辺市役所3階 第一会議室

地方創生とは何か。「人口減少」という大きな地域課題を深く掘り下げる中で、その課題解決のために、自分の企業で何ができるのか、ビジネスチャンスはどこにあるのかを探った。

また先行事例として、たなべ未来創造塾修了生から、地域課題を地域資源に転換したその取組や、そこに至るまでの発想を学んだ。

①講義 地方創生から考える地域課題と地域活性化

講師 (株)日本能率協会総合研究所 塩見一三男 氏
たなべ未来創造塾第三期開講式

田辺市の総合戦略策定業務を受託した経験から、田辺市の現状を踏まえたうえで、地方創生に関する国の方向性や政策を交えながら、国の資金や情報が提供される今が地方にとって大きなビジネスチャンスであるとし、田辺市においてどのように人口減少が進み、地域にどのような影響を及ぼすのかについて、田辺市の人口ビジョンを中心としながら説明した。

日本の人口増減の歴史をみると、2008年をピークに、今後、大幅な人口減少が予測されており、地方から東京圏への大幅な転入が続く一極集中となっている。2014年5月に「2040年までに子どもを産める世代の女性が50%以上減少するまちは消滅する」という消滅可能都市という言葉が提言された。
 こうした状況を是正するための動きとして、国では地方創生を積極的に推進し、各種施策が展開されていることを紹介した。

田辺市に目を向けてみると、自然減と社会減をあわせて年間660人が減少し、その中でも特に15歳〜24歳までの年代で大きく社会減となり、8割は近畿地方、うち5割は和歌山県内に転出している状況である。
将来人口推計では、田辺市の人口は2010年現在の79,119名から2060年には40,122名まで減少するとともに、65歳以上の高齢者は40%を超え、15〜64歳の生産年齢人口とほぼ同水準となることが予測されている。また、将来推計人口メッシュを見ると、旧町村部では将来的に非居住となる地域が多数みられ、2060年には2010年の約3分の1にまで減少してしまうというという衝撃的な数値も示され、こうした中でどのようなビジネスができるのかを考える必要があると説いた。

また、人口減少は労働力不足や生活環境の悪化をもたらすだけでなく、教育・医療・福祉、立地されるサービス施設や都市戦略など、地域全体に影響を与える大きな課題であり、これから地方の企業が生き残るためには、人口減少がどのような影響を与えるか考える必要があると話した。

②ケーススタディ 「ひなたの山の物語」

講師 チームHINATA代表 岡本農園 岡本和宜 氏(1期生)
たなべ未来創造塾第三期開講式 来賓挨拶

岡本氏はたなべ未来創造塾第1期生で、地域課題である鳥獣害対策をビジネスの視点で考えることで、自分の本業である農業を守りながら、地域資源に活用していこうというチームHINATAの取組について説明した。

 ホテルマンの経験を経て、実家の農業を継いだが、経営を任された際、自分が育てた作物の価格を自分で付けられないことに違和感を覚え、自分で販売ルートを開拓し始め、今では系統出荷がゼロとなっている。

こうした中、たなべ未来創造塾の講義を通じて、地域課題をビジネスの視点で考えるうちに、地域課題を解決しないと農業を守ることができないということに気づき、大きな地域課題となっている鳥獣害対策に正面から取り組みながら、これまでにない新しいビジネスを生み出していこうと地域の若手農家でチームHINATAを結成し、「かっこいい」「稼げる」「革新的」という新3Kに向けた活動を始めることとした。
狩猟については、活動1年半で約160頭の捕獲に成功し、地元農家からも「被害がなくなった」、「若い世代がやってくれるから助かる」など感謝されている。

しかし、奪った命をそのまま廃棄していることに疑問を感じ、どうすれば命と向き合い無駄にしない活動ができるのかを考える中で、地域を巻き込み、解体処理場を誘致することに成功し、地域の厄介者である鳥獣害を地域資源に変えることができた。

さらに、解体したものを食べるところまで取り組むことで、販路拡大につなげようと、地元出身のシェフと連携し、ジビエ料理試食会を開催するなど、獲るだけでなく、解体して食べるまでを一体的に取り組む活動へと進化している。

他にも獣のエサ場となっている耕作放棄地をなくそうと、地域の保育園と連携し、トウモロコシを栽培したり、地元高校生と連携し、これまで捨てられていた摘果みかんを活用したスムージーを開発するなど、活動の幅を広げている。

最後に3期生へのメッセージとして、「本業を生かすということを念頭に置いて新しいビジネスを生み出すこと」、「地域を巻き込み人を活用すること」、「地域課題から新しいビジネスが生まれること」、などを提言したうえで、「自分ができることからやってみることが大切で、楽しみながら取り組んでほしい」とエールを送った。